アサーション

非合理的思い込みを排除する

 ABCD理論で示したBelief(思い込み)には合理的思い込みと非合理的思い込みがあります。

 

 非合理的思い込みは、ネガティブな感情や問題や悩みを生み出しやすくします。アサーションでは、非合理的思い込みを排除して、アサーティブな言動にしていきます。

 

 非合理的思い込みにはどのようなものがあるか、以下に示していきます。

 

べき・べからず思考

 ある出来事に対して、「こうするべき」とか「そうするべきでない」などと考えてしまう思考です。
 物事を0か1かで考えてしまう白黒思考や二極思考と呼ばれている思考と似ています。
 べき・べからず思考は非合理や非現実的な思い込みを助長してしまうものです。人から少し注意されただけで、自分はだめな人間なんだと極端に考えてしまったりします。また、そうするべきでないという思いが強くなり、ちょっとしたことを許せなくて、攻撃的になってしまったりします。
 アサーションにおいては、「必ずしもそうとは限らない」といった柔軟な考え方が大切で、それがアサーティブな言動につながっていきます。

 

「どんな人からも受け入れなければならない」という考え方

 人間はできるだけ人から受け入れられたいと望むものですが、これが「受け入れられなければならない」と思い込むと問題になってきます。
 人に嫌われないようにするので、自分の意見や主張を言えません。また、相手が気に入る行動をとるので、相手によって自分の行動が決まります。つまり八方美人になってしまうのです。
 人間は完璧ではないので、全ての人に愛される行動をとれるわけではありません。また、全ての人を愛するということもできません。
 誰にでも合わせるような行動をとっていても、完璧にはできませんし、疲弊してしまいます。自分の意見が言えず、非主張的になるので、とてもアサーションができる状態ではありません。
 この思い込みを排除するには、「できれば好かれたいけど、必ず好かれるとは限らない」という考え方をすることです。呪縛から解き放たれることで、さまざまな状況に応じて自分らしい表現ができるようになってきます。

 

「失敗をしてはいけない」という考え方

 失敗してひどい叱られ方をされたとか、失敗により損失を出してしまったといった経験をしたことで、「失敗してはいけない」という考え方が染み付いてしまうことがあります。
 この考え方をしていると、どんなことでも最大限能力を発揮しなければならないと思い込むようになります。そして、失敗した自分を責めたり、失敗した人を必要以上に責めたりします。ちょっとした失敗でも許すことができなくなります。アサーションを阻害する考え方です。
 この思い込みは誰でも過ちを犯し、責任をもつ権利と深い関係があります。自分も他人も人間は失敗する生き物なのだと認識することが大切です。

非合理的思い込みを排除する|アサーションな考え方を身につける方法関連ページ

ポジティブな見方をする
アサーションができるための要素、考えの明確化について紹介します。このページでは、ポジティブな見方をすることの重要性を紹介します。
表現のバランスを知る
アサーションができるための要素、考えの明確化について紹介します。このページでは、表現のバランスを知ることの重要性を紹介します。
他者から意見をもらう
アサーションができるための要素、考えの明確化について紹介します。このページでは、他者から意見をもらうことの重要性を紹介します。
ABCD理論
ABCD理論は、ものごとの受け止め方、感じ方の仕組みを簡潔に表したものです。アサーションにおいては物事を合理的に捉える力が必要です。ABCD理論には、よくありがちな非合理的な考え方を排除する働きがあります。